「出世できるピークはもう過ぎたし、給料も右肩下がりで俺はこの先どこまで落ちぶれるのか!」と嘆いている50代は一人や二人ではないはずです。
出世競争に負け、今は窓際族として某老舗ホテルに勤務する田代さん52歳もその一人。
終礼のチャイムが鳴ると同時に、職場を飛び出していく彼には秘密がありました。
そう、彼には楽しみにしている副業がありました。今回は、私斉藤がリポートしてみたいと思います。
料金徴収員の副業を見つけた50代の時給は1,000円

彼が経験した副業は高速道路の料金徴収員です。
新聞の折り込みチラシ「Aidem」に載っていたので応募。理由はもちろん、給料が下がる一方で飲みに行く金も捻出できないのが原因。
あと、2人いる娘たちが年頃で、私が家で寛いでいると「匂う!臭い!」って露骨に嫌がるんですよね。
小さい頃は、「パパと結婚する」と2人とも言ってくれて、ずっと一緒だったのに、ショックで家に居るのが怖くなったと何とも情けない理由じゃないですか。
夕方6時定時に会社を出てから、一旦家に戻ってシャワーを浴びて軽い夕食を取るんです。
もちろん娘たちが帰ってくる前には家を出ますよ。
私が担当するのは夜8時始まり深夜0時終わりのシフト、時給は1,000円で夜の10時を過ぎると2割増しになるのでオイシイ。
4時間で4,500円もらえるのであれば、飲み屋で3,000円使うより全然イケてるでしょ?
彼が勤務する料金所は、自宅からほんの5分車を走らせた場所。
夜7時20分には現場に着いて、当日の状況および引継ぎを受ける。土日の日勤で入ってくれと頼まれることもあるが、やっぱり平日の夜間帯の方が断然楽ちんだ。
「そもそも交通量が全然違うからね、平日の夜間帯は、トラックの運転手以外こんな場所誰も通らない」と彼は煙草をふかしながら自慢げに話し続けている。
副業するにあたり何か心配だったことはないのか聞いてみたら、「そりゃ、職場の同僚に見つからないか、いつも冷や汗もんですよ。だってほら、うちの職場かなり有名な老舗ホテルだから。就業規則も厳しいし」と今にも声が消え入りそうだ。
徴収員の仕事は命がけ?出世を諦めた50代の奮闘記

しかし、これまで一度たりとも職場の同僚や得意先の従業員にバレたことはない。
「普通、料金所のおっさんの顔は誰も見てませんよ」と彼は続ける。
一度だけですが…、一度だけ土日の日勤シフトに入った時、職場の同僚が家族と共に料金所を通過した。
「その時は心臓が止まるかと思いましたよ!」
で、どうなったの?その後どうなったのよ。早く教えてくれよ。「いや、だから料金所のおっさんの顔は見ないんだって、あんたは料金所のおっさんの顔をじっと見ることあんのか?」と逆に聞かれてしまい言葉を失ってしまった。
ここは話題を変えなければと思い、他に何か心配だったことはないか聞いてみた。
この歳だし、もう真面目に仕事しなくなって長いから、仕事を覚えられるかどうかが心配だった。
真面目に仕事していないって、職場では何している人なんだろうと聞いてみると、備品を管理する部署の総務一課長。
こんな頼りなさそうなおっさんでも課長になれるとは、よほど良い環境でぬくぬくとやってきたんだろうなと、ふいてしまった。
ETCが流行って、ほとんどが自動レーンに流れていくけど、まだまだETC持っていない人たちは多いのね、そんな彼らが俺たちがいる手動レーンに流れてくる。
通行券をレジに入れて、通行料をはじき出すだけなんだけど、これが結構大変でさ。
どんどん車がやってくるから、手順を間違えると車の列がどんどん伸びちゃうんだよね。
徴収員の売上競争は出世を諦めた50代でもハマる

「ああ、混んでる時のスーパーのレジ状態なんですね?」
スーパーのレジはほとんどが主婦層だから、多少遅くてもイライラされるだけ。
「ハンドル握ると人格が変わるってよく言うだろ?手動レーンに並んでる奴らみんなキレキャラばかりだからな」と彼は言葉を詰まらせた。
「たった30秒かそこら辺でもクラクション鳴らしてきやがる。近頃ではスマホで撮影して『#料金徴収が超遅い奴』とかWEBにアップされる。異常だよ」と漏らし始めた。
新人の頃、最初の数回はベテラン社員が脇に待機して指導してくれる。それもほんの数回だけ、後は実践あるのみって狭い徴収BOXに放り込まれる。
閉所恐怖症なら1日でダメになるぜ、レシート切れや釣銭切れが発生するとパニックになってしまうし、列も増える一方。慣れない頃は、毎日、もう辞めよう。
今日でおしまいにしようと思っていた。
ほんの少しの困難で物事を投げ出すのは、50歳代リーマンにありがちな特徴だ。
「ふとした瞬間、考えずにレジ打ち出来るようになって、通行券も見ただけで暗算できた。釣り銭の間違いも日に日に少なくなっていたしね」
「今年もそろそろゴールデンウィークだよな、ホテル業界と同じで道路業界も大型連休は大忙しなんだよ」彼が煙草をふかし始めると自慢話が始まる予兆だ。
「GWの日中帯は、もう地獄だぜ?ベテラン社員でさえ手を焼くのにさ、俺は1時間で190台サバいたことがある」
1時間に190台通過したのであれば、1分間に約3台通過したことにならないか?20秒で1台とかアリエナイ!と思っていたら「開通10周年の時だったかな、ベテラン社員の西田の野郎が1時間に220台って偉業を達ししやがって」と彼は悔しそうに続けていく。
「俺があの職場を辞めない理由は、西田に一度も勝てないからなんだ」と彼は続ける。
「この職場では、サバいた台数が多ければ多いほど地位も上がっていく、ベテラン社員でもバイトでも、パートのおばちゃんでも関係ない!」私はその時、ああなるほどなと思ってしまった。
彼は本業で生ける屍として長年過ごしてきたようだが、この副業を見つけてから再び男としての闘争心に火が付いて辞められないのなだと
料金徴収員の副業で正義を振りかざさないと決めた50代

「料金徴収員やっていると、色々世間が見えてくるもんだぜ。例えば、料金払い倒して毎日通行しているトラックの運転手とかさ、高速警察に通報して捕まえてもらおうとしたけど、あいつら管轄が違うとか理由をつけて動かないでやんの」
彼は元来正義感の強い男のようだ。
「料金払い倒して通行してるトラックに向かってカラーボール投げた同僚がいてさ、後日運送会社から清掃代として2万円請求された時はびっくりしちまったけどな」
おお!久々に続きが聞きたくなる話題ですな、で、でその後どうなったんですか?オチは?ねぇねぇ。
「管轄している会社から運送会社へ謝罪文を送ると共に、『今後カラーボールをトラックに投げないように』って社内規定が設けられたんだよ」なんとも情けない話だ。
他には、身体障碍者手帳を使って、不正に通行する輩が後を絶たない。
「ヤフオク見てみろよ」と言われて覗いてみたんですが、それらしき出品は見当たらなかった。「ちょっと前まで、ヤフオクで障碍者手帳が出回っていた」と彼はしきりに訴えるのだが、真相は闇のまま。
料金徴収員の副業は命がけ!50代会社員奮闘記まとめ
最後に要点をまとめます。
- レジ打ちが超早くなり暗算が得意になった
- 職場の同僚に会わないかヒヤヒヤした
- ゴールデンウイークや年末年始は大変だった
- 難易度: (1.0/5.0)
- おすすめ度: (1.0/5.0)
- 稼げる額:5万円~/月
※即金性は非常に高い
同僚の皆さんのイイ人ばかりで、人間関係が悪い職場ではないようだ。
普段見ることのない世界を、垣間見てしまった斉藤でした。
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